「”かき”好き?」
「どっちの?」
唐突にこう聞かれると、一瞬「え?」ってなりませんか?
イントネーションで判断できる場面もあるけれど、それでも「牡蠣?柿?」って確認したくなる。
私は柿が大好きで、果物ランキングでは堂々の1位!
そして、好きな食べ物ランキングでは寿司が1位を獲得するほど海鮮も大好き。
つまり、どっちの「かき」も好き!!!
と元気よく答えればいいのに、つい「どっちの?」と聞き返してしまいます、、
だって、
「牡蠣小屋に行きたいのか?」
「柿狩りに行きたいのか?」
それによってテンションの上がり方が違うじゃないですか。
(好きだからこそ、軽率には答えられないんですっっっ)
心の中では「好きって答えたらいいじゃん!!!」と思いながらも、確認せずにはいられない。
言葉って本当に奥深い。
日本語を日常的に使っている私たちでも、「あ、違う!そういうことじゃない!」って思うことが山ほどありますよね。
それと同じように、手話もまた、言葉の表現や仕草、表情によって伝わる意味が大きく変わってくるんです。

最近、「大切」という言葉について考える機会があって、
・あなたが”大切”
・”大切”に扱う
・”大切”に読む
・この考えは本当に”大切”
パッと出してみましたが、こうやって並べてみると、全部同じ「大切」なのに、使う場面もニュアンスも違いますよね。
だから、手話で表現しようとすると、それぞれ違う形になると思います。
○あなたが”大切”
恋愛の場面だったら、手話表現としては「愛しています」に近くなります。
つまり、あなたを”愛しています”。という風に表現を変えることもできると思います。
そして、このときは表情がとっても重要!
真剣な眼差しや、優しい笑み、愛おしさを込めた手の動き
……全部がその「大切」を形作ります。
⚪︎”大切”に扱う
壊れやすいものを持つときの慎重な仕草、優しく撫でるような動き、ちょっとした表情の変化。
それだけで「これは本当に大事なものなんだ」と伝わると思います。
○”大切”に読む
本を大事に扱うときの手話表現。
扱うと一緒だと思うかもしれないですが、これは物体が本になるので、紙を実際にめくる手の動きや、静かに集中して読む様子など、よりリアルな動きが必要になると思います。
○この考えは本当に”大切”
表現としてはよく使われる”大切”になると思いますが、重みがかなり大きく、表情には強い意志を込める必要があると思います。
単に「大切」と手話で示すだけじゃなくて、「どれだけ重要なのか」を伝えるために、手話と感情が一体になってきます。

このしてみると、ほんの少しの違いで手話の表現方法も変化することがわかります。
難しいいいいいいいいいいーーーーー!!
でもこれが手話の奥深さ、ろう文化の豊かさだとつくづく思います。
考えれば考えるほど面白い!
どの「大切」がより「大切そう」に見えるか、鏡の前の自分と向き合ったり、仲間とクイズ形式で出し合うのも面白そうですね!
「この『大切』、どう表現する?」
そんな問いかけをしながら、手話の世界をもっと深く一緒に知っていきましょう!